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今回は新生銀行が取り扱っている「パワード定期」について解説したいと思います。

この商品は、一定期間後の為替レートによって、満期時の受け取り通貨が変わってくるというリスクを負う代わりに、一般の定期預金よりも金利が良くなっている金融商品です。

以下、2006年5月23日の20時ころ新生銀行のホームページで見た情報を使わせていただきます。預け入れ時の為替レート(基準レート)が111.00円だと仮定します。

パワード定期
預け入れ期間 : 1年
預入通貨/相対通貨 : 円 / 米ドル
特約設定レート : ( 基準レート - 1.00円 )
預金金利 : 3.27%
(ちなみに同日の1年物の円定期預金の金利は0.08%でした。)

この商品がどういうふうに成り立っているかというと、
① 定期預金
② 米ドルプット・円コールオプションの売り
の2つから成り立っています。

このパワード定期の金利が同預け入れ期間の通常の定期預金金利に比べてどうして好金利かというと、米ドルプット・円コールオプションの売りによって得たオプションプレミアム相当分の一部を金利に上乗せする形になっているからです。

さて、この商品に投資した際の円ベースでの損益図を単純なグラフで表すと下記のようになります。(注:税引き前、円換算時の為替手数料は無視)



ここで上記グラフを見て、円定期預金とパワード定期に投資した場合の1年間の利回りを比べてみましょう。
グラフを見て頂ければお分かりの通り、このケースでは判定日(約1年後)のドル円レートが106円台の半ばまで円高が進まな買った場合には、円定期預金よりもパワード定期の方が良いリターンを生むことになります。逆にそれ以上円高が進むと、パワード定期に投資した場合には円ベースでマイナスになってしまいます(円高になればなるほどマイナスが大きくなります)。

もともとこの種の仕組み預金は米系金融機関のシティバンクが「プレミアムデポジット」という名前で、販売したのが始まりであると記憶していますが(確かな記憶ではありません。間違っていたら申し訳ありません。)、現在では、「外貨特約付き定期預金」のような名前で多くの都市銀行/地方銀行でも扱っているようです。

基本的には、この種の商品は以下のようなものであると理解しておくと良いと思います。
① ドル円レートが一定以上円高にならなければ、円定期預金に比較して好利回り
② ドル円レートが一定以上円高になってしまった場合には、円定期預金に比較して利回りが劣り、更には円ベースでマイナスの利回りになる可能性がある。

さらには、以下の事項も覚えておいたほうがいいかもしれません。
① 通常の定期預金に比べて、多くの利鞘を金融機関に抜かれてることがほとんどです。
(一般的な個人の場合、オプションの価値を正確に知る事は難しいため、高い利鞘を抜かれてもわからないことがほとんどです。)
② 円で預け入れて満期時に外貨に換わってしまった場合、大抵の場合は円に戻す際に為替手数料がかかるため、円ベースでの利回りは更に悪化します。
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